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電子データやメッセージの証拠能力及び証拠価値に関する規定を含む法律を制定することである。このために、UNCITRALの「EDI作業部会」において、1994年から「電子データ(EDI)及びこれに関連する通信手段の法的側面に関するモデル法」の作成作業が進められてきたが、96年9月に同委員会総会で承認された。このモデル法第8条(データメッセージの証拠能力及び証拠価値)に、「法的な手段において、いかなる証拠法則も、次に掲げることを理由に、データメッセージを証拠として認めることを妨げるように適用してはならない。」旨の規定が設けられている。UNCITRALの「モデル法」がこのような形で制定され、各国において、電子データ等に関する証拠法の整備が進展することになれば、電子的証拠の容認可能性は高くなることになると思われるが、それまでの間においては、現行法の認める範囲内で、EDI取引当事者間の個別的なEDI協定書によりこの問題の解決が図られることになる。
(3)「証拠」規定の必要性「証拠能力」についてみると、わが国の民事訴訟法の下では、これについての制限は特に設けられていないので、EDI取引に係る商事紛争に関する訴訟がわが国の裁判所に提起され、日本国法を準拠法として手続が行われる場合には、裁判所に提出された電子データまたはメッセージのプリントアウトの証拠能力について特に問題となることはないといえる。しかし、諸外国の証拠法についてみると、電子的な証拠の容認にとって障害となるような規定が現に存在している国もあることが指摘されているので、EDI協定書に「証拠能力」に関する規定を設けておくことが望ましいと考えられる。
3.「強制可能性」に関する規定モデル協定書第4章「有効性および強制可能性」は、「4.1条有効性」、「4.2条証拠」および「4.3条契約の成立」という構成になっている。この構成から、当然のことであるが、本条の規定は、「4.1条有効性」の補足規定で、「強制可能性」に関する当事者相互の保証を明示するものである。これはEDIメッセージによって締結された契約の有効性または強制可能性に関連する問題であるから、アメリカ弁護士協会のEDI協定書では、「有効性・強制可能性」に関する条項(3.3.3条および3.3.4条)の中で扱われている。同協定書第2.2条「証拠」は、受信確認に関する定義規定である。カナダのEDI協定書には、証拠に関する条項(7.04

 

 

 

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